第1章

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「ケンタ、あなたどうやって帰って来たの?風船はどうしたの?」 「どうやってって、風船で帰ったに決まってるじゃん、それとあの風船、飽きちゃったから二つともミチコにあげたよ」 お母さんはあきれました。でもすぐミチコが心配になってミチコの部屋へ急ぎました。ミチコの部屋は2階の一番日当たりが良い部屋です。 お母さんはノックをしました。いつもと違って返事がありません。お母さんはあわててドアを開けました。 「ミッチャン」 部屋はもぬけのからでした。 ベットは寝ていたぬくもりだけが残り無人でした。窓は開けっぱなしのまま、花柄のカーテンが風でゆらゆらゆれていました。 どこへ行ったのかお母さんは不思議に思いました。ミチコは一人では何もできないからです。 部屋を見渡しましたがミチコはどこにもいません。仕方がないので他の部屋を探そうとしました。 ミチコの部屋を出る前に窓を閉めて行こうと思い窓に近づくとふと窓の外の空に人影が見えました。 何だろうと目をこらしてみてみるとそれはミチコでした。 ケンタと同じように両手に風船を持ってはるか雲の上を風に乗り、西へ西へと進んでいました。 お母さんは大きな声で娘を呼びました。でもまったく聞こえないのかミチコは反応しません。 やがてミチコは点になり見えなくなってしまいました。 お母さんはびっくりしましたが何故か悲しい気持は起きませんでした。なぜならミッチャンは今まで見せたことのない満面の笑みでお空に飛んで行ったからです。 ミッチャンはやがて西の空へ見えなくなりました。
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