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翌日
「はぁ!?勝負を申し込んだぁ!?」
「声でけーよ」
昼食時、俺は昨日あった出来事を悠太に報告していた。
「勝てる見込みあんのかよ」
「ない」
「バカ」
「うっせー。正直勝ち負けにはあんまこだわってない。そりゃ、やるからには勝ちたいけど…それよりも、あいつの球打ってみたい気持ちのが強い」
「やっぱバカ」
「だからうっせーよ」
「でも今のお前じゃかすりもしねぇだろ。どうすんの?先輩達に練習申し込むにも地区予選始まってるし、正直今余裕ないと思うぞ?」
「そうなんだよー…まぁ大人しく自主練かな…」
そう、今まさに甲子園地区予選真っ只中。
先輩達は優勝目指して集中している所。
とても俺の個人的な事情で練習に付き合わせるわけにはいかない。
一人項垂れていると、悠太が大きい溜息をつきながら
俺の頭を叩き、呆れた顔して言う。
「俺じゃ役不足だけどいいか?」
「えっ」
「俺ぐらいしかお前に協力できねーだろ。さすがにあいつに勝てるような練習はできないと思うけど」
「悠太ぁぁああ…!お前はなんていいやつなんだ!持つべきものは親友だな!!」
「うざい」
思わず抱き着こうと両手を広げるも、思い切り突き放されてしまう。
勝てる見込みはないかもしれないけど、少しでも藤木に近づければいい。
その日の夕方から、悠太と二人で練習を始めた。
勝てる可能性を1%でも上げる為に。
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