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その日『納得屋』の店主である佐川槙(サガワ・マキ)と識(シキ)は前の店主である玉村冬慈(タマムラ・トウジ)の営んでいる『やくとっな』の前に来ていた。
そして店の前で、
「ほら早く入るよ。何モタモタしてるの槙。怒られるよ。」
足取りの重い槙に式がそう声をかけた。
「わかってる。わかってはいるんだけど足が思う様に動かない。はぁ・・・。」
識の言葉に槙はそう言ってため息を吐いた。
そんな槙とは逆に、
「まぁ、槙にとってはつらいかもしれないけど今となっては滅多にない機会なんだよ。先生との手合わせなんて。」
識はいきいきとしてそう言った。
そんな識に、
「そりゃ識は先生とまともに手合わせできるからいいよな。俺、全然歯が立たないし。明日は確実に体は痛くなるし。って俺の足取りが重いのはそれが原因じゃなくて。」
槙がそこまで言った所で、
(はぁ…もう引っ張って無理やり中に入れようかな。その方が手っ取り早いし。)
識がそう思い、無理やり引っ張って中に入れようとした。
がその前に、
「店の前で騒ぐな。」
店から出てきた冬慈が呆れた表情を浮かべてそう言った。
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