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二人一組が好きだ。昔から。
親に買ってもらったぬいぐるみたちは、すぐにつがいにしたし、授業のペアワークなんかも好きだし、少女漫画を読めばさっさと主人公の恋を成就させたくなるし、少年漫画はバディものが大好物だ。
だから、自分の人生でも運命の人と二人で一つの家庭を築いて幸せに暮らせると思ってた。いや、信じていた。今でも信じてる。執念深く。
「……婚活、か」
現在27歳。独身。
あんなに一生懸命ぬいぐるみたちの仲をとりもってあげたのに。ぬいぐるみの妖精さん、どうか私もつがいにしてください。どうか、どうか、お願いします。
「さっきから、なにブツブツ言ってるの、美波ちゃん?怖いんだけど……」
佐々木さんの声で、はっと我に返った。
「あー、やっぱりやめておこうかなーって思って」
「なんで」
「えー、なんか、こういうの切羽詰まってる人ぽいなーとか、写真載せるの嫌だなーとか、知らない人とメッセージ交換して会うの怖いなーとか、いろいろ、です」
「でも、結婚したいんでしょ。今年こそは」
「まあ、可能であるならば」
「ほら、貸してごらん」
佐々木さんは私のスマートフォンを奪うと、なにやら勝手に操作を始めた。
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