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「……はい、涼之根美波。登録完了!」
「え?あ、あーなんてことを……」
思わず絶叫する私。
「あー!踏み入れてしまったー!足を踏み入れてはならない境界に足を踏み入れてしまったー!」
「そんなおおげさな。今どき婚活サイトなんて、みんなやってるよ」
「なんか、楽しんでません?」
「そりゃそうだよ!既婚者の私にはできない大冒険だから、美波ちゃんを通して楽しむ気満々だよ!」」
「はあ」
「それに、こういうのは楽しんだ者勝ち!でしょ?」
「はあ」
「登録したからには、やるしかないよ!こまめに情報を更新すること!写真もばんばんアップすること!」
「はあ」
「そうだ、会社戻る前にお参りしよう!縁結びの!」
「はあ」
「さあさあ、レッツゴー!」
なんで、テンションマックスなんだ佐々木さん……。
こうして私は半ば引きずられるようにして、神社(寺だったかな?覚えてない)へ参拝し、怪しげなおばさんからお守りを購入。会社へ戻りちょこちょこっと残業をし、夜8時には退社。駅前のスーパーで一人分の総菜を買い、帰宅。荷物をばーんと投げ出して、少し休憩。いやー、今日も疲れたー。あ、お守り。あれだけは、適当に扱うと罰が当たりそう……。バッグをごそごそ。あった。縁結びの石的なストラップ。でも、ストラップつけるところないんだよね。今のスマートフォン。どうしようかな。とりあえず、テーブルの上に置いた。その瞬間。
爆発事故だと思った。
そのくらいの目映い閃光が部屋を満たした。
思わず、きゅっと、目をつぶる。
(こんな田舎で爆破テロ?それか、近所の工場で爆発でもおきたかな。え、これ危ないんじゃない?死ぬのか、私)
漠然と死への恐怖を感じたが、光はあっさりと消えた。
恐る恐る目を開けると、そこには。
雛人形のお内裏様のようなコスプレをした男が、腹這いになってこちらを見ていた。
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