第一章

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 白いローブを着た男たちが長い長い詠唱を唱え続けていた。  詠唱が唱えられるたびに少しずつ祭壇の前に描かれた魔方陣が外側から白く光っていく。  魔方陣が光りを放つと同時に、集められた子供たちが苦しげな声を上げて倒れていく。  最初は1人、2人  詠唱が続き魔方陣の光が範囲を増すごとに、苦悶の声が増えていく。  その場に集められていたのは、だいたい5~16、7の子供ばかりだったが、先に倒れていくのはより小さな子供だ。  カティはガチガチと歯を鳴らしながら、腕のなかのぬくもりにすがりつく。  奴隷商の元から共に連れて来られた女の子は、部屋に入れられてからも怯えてカティにしがみついていた。  温かいぬくもりは僅かながらもカティに慰めをくれるのと同時に不安も大きくする。  このぬくもりが消えてしまったら、自分は正気でいられるのだろうか。今でも恐怖でおかしくなってしまいそうなのに、このぬくもりまで消えてしまったら。  すがりつくぬくもりがあった分、より絶望や恐怖は大きくするような気がする。  それでもすがらずにはいられなくて、カティはいっそう強くそのぬくもりを抱きしめる。  ヒゥッと息が詰まったような音がして、カティは息を飲んだ。  ヒッ・・・ヒゥ、フュッ。  止まらない。  ガタガタと全身が瘧のように震えて、両の瞼から涙が溢れる。  怖くて、恐ろしくて、確かめられない。  腕の中の小さな身体は痙攣して、びくびく跳ねて、やがて動かなくなった。 (まだ、大丈夫、まだ温かい。まだ温かいから)
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