scene.11

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「ごめんね。でも私…」 「一人?」 「え…?」 驚いて門倉君を見ると、彼は肩を竦めて笑った。 「な訳ないか」 「…」 「彼と一緒なの?」 私は目を見開いて門倉君を見る。 この人、斎の存在を知っている──。 知っているクセに、なんでこんな声のかけ方をしたんだろう? あのタイミングで声をかければ、私と斎がはぐれるのは目に見えていた。 そこまで考えて、ふと行き着いた。 「そうだよ。でも、門倉君わかってたよね?」 私がそう言うと、彼は苦笑しながら答えた。 「ごめん。香月さんと二人で話したかったから」 「それでも、こういうやり方は…」 「香月さん、僕を避けてたでしょ?」 私の反論を遮るように投げられたセリフに、私の身体は硬直する。 確かに私は門倉君を避けていた。 変に誤解させたくなかったし、私としては、あの場限りで終わりと思っていたから…。
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