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そして、門倉君が次の言葉を続けようとした瞬間、私の腕がグイと引かれ、大きな背の後ろへと追いやられた。
「…こいつに、何か用ですか?」
「斎…!」
肩で息をしている様子から、きっとそこら中を駆けずり回って探してくれたんだと思った。
門倉君は突然現れた斎に驚きを隠せず、言葉を失っている。
「用がないなら、失礼します」
そう言って、私の手を引いてその場から去ろうとすると、門倉君が我に返って斎に向かって問いかけた。
「香月さんと付き合ってるんですか?」
「…」
その言葉に斎が立ち止まる。
私は息を呑んで、二人を交互に見つめた。
斎、何て答えるんだろう…?
斎は握っている手に少し力を込め、言った。
「それに答える必要はありますか?」
キツイ視線を向ける斎だが、門倉君も負けてはいない。
平然と斎の言葉を受け流す。
「ありますね。僕は香月さんと付き合いたいと思っています」
「…」
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