scene.11

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「斎…ちょっと…待って…」 咳をしながら訴える私に気付き、斎は足を止めた。 私は肩で息をしながら辺りを見渡すと、そこは境内から少し離れた場所だった。 明かりはかろうじて届くくらいで、足元などは暗くてよく見えない。 「…ごめん、斎」 謝ると、斎は少し乱暴に私を抱き寄せた。 「急にいなくなるな」 「…うん」 掠れた声を聞いて、斎が死ぬほど心配してくれたことを知る。 さっきまで一緒にいたのに急に姿が見えなくなれば、何事かと心配になるだろう。 やむを得ない事情があったにしろ、今回は全面的に私が悪い。 「心配させて…ごめんなさい」 しゅんとしてもう一度謝ると、抱き締める腕に力がこもった。 「いなくなるだけじゃなく、他の…」 「…斎?」 「いや」 斎は頭を振ると、腕を解き、私の頭を軽く小突く。 「あまり心配させるな」 「うん」 私が頷くと、斎はやっと表情を和らげ、再度私の手を取った。 「戻るぞ」 「…うん」
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