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斎に手を引かれ、私達はお参りに並ぶ最後尾まで戻ってくる。
先ほどよりも長くなっている行列にウンザリしつつ、ほんの少しだけ感謝もする。
……行列の分だけ、長く斎といられる。
「そういえば、あの子のご両親は見つかったの?」
迷子になっていた女の子のことを思い出し尋ねると、斎は少し目を細め、優しげに笑った。
「あぁ、両親も探していたみたいで、すぐに会えた」
「そっか…よかった」
「両親に会えた途端、ものすごい勢いで泣き出して、驚いた」
その時の様子が目に浮かぶようだ。
いきなり泣き出した女の子に、きっと斎はアタフタと慌てたことだろう。
見たかったなぁ……。
「普通なら、はぐれちゃった時点で泣くだろうに…強い子だったね」
私がそう言うと、斎もそうだな、と頷く。
「舞も、そうだったな」
「え…?」
「お前も、それまで泣いていなかったクセに、俺が見つけた途端に泣き出した」
「…そ、そうだった??」
いきなり昔のことを引っ張り出され、頬が熱くなる。
私は、ゆっくりと昔の記憶を呼び起こしてみた。
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