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長い行列が順調に消化されていき、私達の順番がやってきた。
鈴を鳴らし、お賽銭を入れ、作法に則ってお参りする。
目を閉じると、さっき初めて見た、斎の刺すような視線が思い浮かんだ。
切れ味の鋭い、刃物のような視線。
ゾッとするほど怖かったけれど、同時に胸がいっぱいになった。
…苦しいほどに。
幼馴染だと言ったけれど、私の気持ちを無視するようなら、容赦はしないといったその視線。
自分がどれほど大事にされているのか、思い知った。
特別な、“彼女” という指定席にいなくても、こんなに大切に思ってもらっている。
これ以上を望むことは、贅沢だという気がした。
──今年も、そしてこれからも、ずっと…斎の傍にいられますように。
私は神様に、そう強く願わずにはいられなかった。
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