scene.11

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「舞、杏奈ちゃんとの待ち合わせはいいの?」 母親の言葉にぎくっとする。 初詣は毎年杏奈と一緒で、今年ももちろんそうだと母は思っている。 しかし、杏奈は今、バリにいる。 「えと…あのね…」 今年は斎と一緒だということを、私はまだ母に話していなかった。 別に不都合がある訳でもないけれど、斎のファンである母に話すと、必要以上にはしゃぎそうで、なかなか言い出せなかったのだ。 しかし、今日は斎が迎えに来てくれることになっているので、どうしたってバレてしまう。 その時、インターホンの音が鳴った。 「あら、誰かしら?」 母親がインターホンの受話器を取る。 「え? 斎君!?」 驚いた顔で私を見て、目をぱちくりとさせた。 私は誤魔化すように笑って、急いで自分の部屋へコートを取りに行く。 「舞! 初詣、斎君と行くなんて言ってなかったじゃない!」 「ごめーん、急に決まったからー!」 なんで言ってくれなかったのよ、と不満顔を見せる母親に、手を合わせて頭を下げる。 だって言ってたら、大はしゃぎで構おうとするでしょ? それはちょっと勘弁してもらいたい。 私はコートを羽織り、マフラーを巻き手袋をはめ、完全防備の状態で、外で待っている斎の元へ向かった。
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