第1話 【妖怪《ようかい》 瀬坊主《せぼうず》】

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    「どうした、北條」 「心当たりはなくもない」 (まこと)かッ───昌平は(ゆか)をぐいと押し前のめりになる。 「あァ、だがやはりなんにしても」 「下手人(げしゅにん)」 「(とら)えるには」 妙な間が開いた。 「……か、金か。金なら俺が」 「そんなもんははじめから貰うにきまってる」 ちゃっかりしてやがる───と昌平は心で舌打ちをした。 「おびきだすための」 「またお得意の───」 「なんだ貞吉、その嫌な目つきは」 「この世のどこに、”エサ”をつけねぇ釣り人がいるかよ」 月弥は不気味ににやっと笑った。  
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