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「どうした、北條」
「心当たりはなくもない」
真かッ───昌平は床をぐいと押し前のめりになる。
「あァ、だがやはりなんにしても」
「下手人」
「捕えるには」
妙な間が開いた。
「……か、金か。金なら俺が」
「そんなもんははじめから貰うにきまってる」
ちゃっかりしてやがる───と昌平は心で舌打ちをした。
「おびきだすための」
「またお得意の───」
「なんだ貞吉、その嫌な目つきは」
「この世のどこに、”エサ”をつけねぇ釣り人がいるかよ」
月弥は不気味ににやっと笑った。
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