第4話 【咆哮《ほうこう》 赤狒々《あかひひ》の山《やま》】

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    ◆   ◆   ◆ 細長く四角(しかく)()墓標(ぼひょう)が立ってある。 ───『アカヒヒの(はか)』 そう(きざ)まれていた。 墓標の下に、(おとこ)は、(ささ)(そそ)ぐ。 男も、くいとそれを()んだ。 すると、背中から 「みー」 「みー」 と、木陰(こかげ)隙間(すきま)にいる──(けもの)ちいさな鳴声(なきごえ)をとらえた。 男は、二匹を抱き上げ、ちいさな住処(すみか)へ戻した。 「(はら)()ったか?」 ほらよ──と、男は、クルミのひじき()を与えた。 それは、たったひとりの“親友”が大好きだった、 故郷(ふるさと)料理(りょうり)── 「オメェらには、ちと贅沢(ぜいたく)すぎか」 酒瓶(さかびん)を、ぐいと(かたむ)ける。 木漏(こも)れ日が、男を()した。 久禮(くれい)は、大樹(たいじゅ)にもたれて、一息(ひといき)ついた。 了
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