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◆ ◆ ◆
月影に浮かぶ7つの影。
「きさまら!!わしになにかあったら、我が藩主が黙っとらんぞ」
澄んだ空に、騒がしい怒号が響く。
耳鳴りがする。
「うっせ」
ずがんッ───と月弥が頭を殴った。
「おとりにするならテメェみてぇな職権むさぼるヤロウが」
「かっこうのエサなわけだ」
「なるほどな」
「昌平ッ、きさまいま納得したな」
つい口走ってしまった。
「こいつらなんだ。いったいなにを企んでおる」
「尾張さま、申し訳ございません。藩のためです」
「下手人がでりゃあすぐにでも解放してやるよ」
「しばし辛抱なさってください」
静季がやさしくなだめたが、
『尾張』をさらに逆なでした。
「ぬかせッ。この『尾張将監』、
なにひとつやましいことはしたことはない。
昌平、覚悟しておけ。この始末、どう責任を」
ずがんッ───と月弥が頭を殴った。
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