第2話 【闇《やみ》アプリ 妖怪鬼髪《ようかいきはつ》】

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    灰色の会議室(かいぎしつ)───。 締め切られた空間のなかで、ふたつのちいさな影が浮かぶ。 けたたましい罵声(ばせい)部長(ぶちょう)説教(せっきょう)っぽくいうわけじゃないけどさ」 社員(しゃいん)「はい」 部長「もうちょっと、自覚してくれないかな?子供じゃないんだから。ある程度やらなくちゃいけないことぐらいわかるよね。把握(はあく)しなくちゃ。だれもこんなことまで教えてくれる人いないぞ?新卒(しんそつ)でわからないことだらけだろうけどさ。わからないことあればきちんと聞かなくちゃ」 社員(しゃいん)「はい」 (みにく)く開かれた黄色い歯が彼を(あざけ)る。 帰宅後─── 鞄とスーツの上着をすぐさま捨て、そそくさと二階へ上がる。 (はは)「おかえり。ごはんは?」 社員「もう寝る」 冷たい扉が絞められた。 暗澹(あんたん)の世界に、 黒いカタマリがうずくまる。 ぽつり───と白い(ひか)りが浮かび、 そこから彼の顔が、死人(しにん)のように浮かび上がった。 死んだ(さかな)のような瞳で、彼はスマホのアプリをのぞいていた。 アプリ検索ワードに、彼はこう打っていた。 「自殺(じさつ)」  
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