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彼は検索を押す。
すると数あるなかから、目に留まるものがあった。
【自殺願望専用アプリーThe Future Which Endsー】
そのつぎにある文字を、彼はついつぶやいた。
社員「……『明けし未来』」
詳細のイメージ画像には、きれいな西陽が映えし湖畔と、樹木にさえずる小鳥の絵画が載せてあった。
おかしな宗教団体だろうと思い、ネットで知り合ったサバゲー仲間との話の種にしようと詳細説明を読んでみた。
「いまの未来で───幸せですか?」
と書かれていた。
彼にとってそれはつかれたくない言葉だった。
この先、社畜として働いても、とうの将来は目に見え、なにも考えずのうのうと生きて、親の面倒をかけまいと、家から近い職場に不本意に就職して、まるで死ぬためといわんばかりに、高い保険料の生命保険に加入させられ、苦しく───ただ苦しく、満員電車にもまれる日々。
安らぎを───求めていた。
彼はなぜかインストールしてしまった。
アプリごときで未来なんぞ変えられないのに。
社員「気休めだ」
と独り言を吐き、アプリを起動した。
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