第2話 【闇《やみ》アプリ 妖怪鬼髪《ようかいきはつ》】

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    彼は検索(けんさく)を押す。 すると数あるなかから、目に()まるものがあった。 【自殺願望専用(じさつがんぼうせんよう)アプリーThe Future Which Endsー】 そのつぎにある文字を、彼はついつぶやいた。 社員「……『()けし未来(みらい)』」 詳細(しょうさい)のイメージ画像には、きれいな西陽(にしび)が映えし湖畔(こはん)と、樹木(じゅもく)にさえずる小鳥(ことり)絵画(かいが)が載せてあった。 おかしな宗教団体だろうと思い、ネットで知り合ったサバゲー仲間との話の種にしようと詳細説明を読んでみた。 「いまの未来で───(しあわ)せですか?」 と書かれていた。 彼にとってそれはつかれたくない言葉だった。 この先、社畜(しゃちく)として働いても、とうの将来(しょうらい)は目に見え、なにも考えずのうのうと生きて、親の面倒をかけまいと、家から近い職場に不本意に就職(しゅうしょく)して、まるで死ぬためといわんばかりに、高い保険料の生命保険に加入させられ、苦しく───ただ苦しく、満員電車にもまれる日々。 (やす)らぎを───求めていた。 彼はなぜかインストールしてしまった。 アプリごときで未来なんぞ変えられないのに。 社員「気休めだ」 と独り言を吐き、アプリを起動(きどう)した。  
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