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風が吹き抜ける屋上。
そこに寝転がる一人の人物がいた。
服装からして男子高校生だろう。
さんさんと照りつける太陽の下で気持ち良さげに目を閉じているその男子高校生は時折、むにゃむにゃと口を動かしながらスースー寝息をたてている。
「スースー………んー…」
不意に寝息が止まったると長い睫毛を少し震わせながら切れ長の瞳がゆっくりと開けられる。
「あれ…寝ちゃってた」
ゆっくりとした動作で起き上がった男子高校生はふわりと欠伸をしてまだ寝起きで開ききっていない目をこしこしと擦っている。
彼の名前は湍水瑠樹ハヤミ ルキ。
今年、高校三年に上がったばかりの18歳だ。
容姿は長の瞳に長い睫毛、薄い唇、鼻筋はスッと通っておりおまけに180センチはあろう高身長だ。
俗に言うイケメンである。
瑠樹はまだ眠たげな眼のまま立ち上がり大きく伸びをした。
「んー…
こう日和が良いと知らないうちに眠気に負けるから困る」
緩い口調で独り言を漏らしながら空を仰ぎ見る様はふわふわと掴み所がない雰囲気で空気に溶けてしまいそうなほどだ。
暫しぼーっと空を眺めていた瑠樹だがハッ!と我に返り何かを思い出したように目を見開いた。
キーンコーン…
授業の始まりを告げる鐘がなる。
「あー…授業始まった?やばいな…確か次の授業は科学だ。嫌だなー…科学のツルテカはねちっといんだよなー…」
やばいと言いながらも特別焦った様子もなく、はぁ…と重いため息をつきながらも教室に戻る為にドアに向かって歩き出した。
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