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「うっうっ…優しい…グスンッ
僕は神様だよっ」
渡されたハンカチでだらだらな鼻水やら涙やらを拭いながら問いかけに答えた髭もじゃな変人。
ハンカチを渡されたと同時に顔からの分泌物も増え、もうハンカチはハンカチの役割を果たしていない。
つまりはぐちょぐちょのべちょべちょになっていた。
「(うわ…あのハンカチ返されるのかな?あんなのもういらな…)
………ん?神様…?髪…じゃない。神様ってことは俺やっぱり死んだのか。」
役割を果たしていないハンカチに遠い目をしながら神様の話を聞いていた瑠樹は一人言のように声を漏らした。
「ん?まあだ死んではないよ?生きてもないけど!」
瑠樹の一人言にコテッと首をかしげた神様はやっと泣き止んだようでびしょ濡れのハンカチを瑠樹へと返しながら言いきった。
「(うわ…イラナイ)
…死んでもいないけど生きてもいないってどう言うことですか?」
返されたハンカチをやんわりと受け取り拒否しながら瑠樹は神様(自称)に問いかけた。
死んでもいないけど生きてもいない
そんな矛盾、 普通は存在しないだろう。
「……ウッ…今から説明するね。グスッ…
君は学校の屋上から転落してここに来たよね?
その時強い風が吹いて柵が壊れたと思うんだけどそれやっちゃったの僕なんだよねっ」
まだズビズビと鼻を啜りながら瑠樹の疑問に答えた神様(自称)。
言葉の最後にてへっと笑っているその顔はなんとも腹立たしい。
「…は?何?てことは俺が死んだのってあんたの仕業なんだ。」
神様(自称)の最期のてへっにちょっと苛立ったのか瑠樹の口から発された声はとても低いものだった。
敬語も外れるほど腹立たしかったのだろう。
瑠樹の顔は無表情…と言うより真顔に近く目は神様(自称)を冷たく蔑んだように見ていた。
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