第1章

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俺の名は桐上たま。名前はたまだが猫ではない、人間だ。ついでに言えば性は男で、十六歳になったばかりの高校生だ。 そして隣に並んで一緒に登校しているのは同級生の美津メル。前髪はぱっつんで、肩まである赤毛は緩やかにウェーブがかっている。メルとは別段つきあっているわけじゃないけれど、なんとなく気がつけばいつもそばにいる。そんな関係が続きに続いてもう十数年だ。 俺には近頃真剣に悩んでいることがある。それは愛の告白だ。十六年間の人生で未だかつてしたことがないので、そろそろ経験してみたいと思っている。しかし初めての告白が成功する確率は極めて低いと聞いている。どうせ失敗するなら失敗しても良き思い出になるような人物に、胸を借りて告白してみたいのだ。
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