冬、先のことはわからないから

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無垢な背中を穢したこの手が なくなればあなたと結ばれないのかな 左手の薬指だけがなくなればいいのかな そうしたらあなたは幸せになれるのかな ずっと考えていたことがある 未来の私の生き方について 知らない土地でひとりぼっちで 早めに若く死んでいきたいと 寒くない冬があった 穴のない夜があった あなたを好きになった あなたが語る未来に 憧れを抱いた 冷たい頬に手の熱が吸われる 二人で自然に未来を話した お腹に回された腕が 心地よいものだと知った 私はこの手を離さないからね でもあなたは無理しなくていいよ するすると腕をなぞって 解く日が来るかもしれないけれど この気持ちの名前を 私はまだ知らない .
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