夏、私を向いた矢印を求めた

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輪郭をなぞった滴を あなたは舌で絡め取った いやらしさなど微塵もなく そのぬくもりで力が抜けた 私はただ幸せになりたいの 口に出しても何も変わらないなら 重りをつけて底へと見送ろう 遠くに行っても忘れないように 手を握っていて そのまま強く あの人の元へなど行けないように 甘い言葉で私を縛って 冷たい海に飛び込まないように 幸せだと心に知らしめるために 赤いバラを崩してしまえ 私のこの手にあるうちに 美しくて気高い心が あなたに渡ってしまわぬうちに 優しい声で甘く罵って あなたに恋してしまわぬうちに .
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