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ぐいぐいとパパの質量が迫ってくる。こういうの、世間では脳筋(脳ミソまで筋肉)というのかしら。
後にして思えば、その時に気圧されて「わかった」と答えたのが運の尽きだった。
「よし! じゃあ腕立て伏せから行くか! 最初はウェイトを使わなくても、自重で十分だ。普通の腕立てもキツイだろうから、四つん這いでやろう。腕を開くと胸筋に力が行くから、そうそう、閉じたままで上腕三頭筋を意識して。降ろしてぐっと持ち上げる。目標10回行ってみよう。はいろーく、なーな、もうダメと思った所からあと1回!」
パパが何を言ってるのかよくわからないけど、ノリノリなのはわかる。その後、腹筋、背筋、スクワットと、色々な運動をやらされた。あぁ~、キツい! でも、ようやく終わった。
「じゃあ、今のを1セットにして、3セットやろうか!」
「お父さん、飛ばしすぎですよ」
「や、ごめんごめん。つい熱が入ってしまった」
動けなくなるんじゃないかと思ったら、ママが救いの手を差し伸べてくれた。結局、1.5セットで許してもらった。体はつらいけど、何かを成し遂げたような気分の良さはある。
動けなくてぐでっと横になっていると、ママが声をかけてきた。
「ねぇ、詩織ちゃん。痩せたいんだったら、トレーニングよりも重要な要素があるの、わかる?」
「えーっと、食事制限、かな?」
「正解。体型なんてすぐ変わるから、若いうちは好きなものを食べてればいいと思っていたけれど、ダイエットしたいならそういうメニューにするわよ?」
なんと、私の体型はママの放任主義の結果、ですと? っていうかそれより…
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