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翌朝、軽く筋肉痛な体で食卓に着く。どんなヘルシーメニューが並んでいるのかと思ったら、チキンステーキの目玉焼き添え、納豆、豆腐サラダ、お味噌汁と、なかなかボリュームのあるラインナップだ。こんなので、ダイエットになるのかしら?
えっと、あと準備するのは、と。
「ご飯、つぐ?」
「ご飯は無いのよ」
「じゃあ、トースト?」
「トーストもなし」
「え?」
「今日から炭水化物は食べませーん」
ママったら何言ってるのかしら。このメニューにご飯もパンも無いなんて、ありえない。
「炭水化物って、消化される時は糖になるの。お砂糖の糖ね。太る原因なので、今後食卓にはならべません。もちろん、甘い物も禁止よ」
甘いものは覚悟していたけど、炭水化物も食べられないなんて!
「じゃあもしかしてパスタも?」
「なし」
「ビザは?」
「なし」
「牛丼?」
「具だけなら」
「ラーメン」
「とんでもない」
「むーーーりーーー! ダイエットなんてもうやめてやるーー!」
「始まってもいないじゃない」
ママは、にべもない。例えばご飯でもカレーでもうどんでも、減らすのなら我慢できる。でもまさか一切食べられないなんて! そんなの食文化への冒涜だわ!
先に食べ始めていたパパが軽く笑った。パパが言ってた『徹底的』というのはこの事だったのか……。ママに何を言ってももう無駄なのね。
「その分、たんぱく質はたっぷり摂ってもらうから、お腹が空くことはないわよ!」
その日から、私の主食は鳥ささみになった。
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