ここからいなくなれ

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 こんな気分のときに、よく思い出す出来事がある。  大学時代のゼミ飲みで、当時狙ってた子に言われた言葉。 「サハラくんってさ、服のセンス悪くないよっ。ただね、無駄にスケールでかそうな名前のくせに、かませ犬タイプなのが気になるよねっ。でもさでもさ、社会にはそういう人も必要だよっ。あはっ」  ばっしばし俺の背中を叩きながら、さも楽しそうに言い放ちやがった。アタシ面白いこと言っちゃってる、みたいな顔で。  ホントにガサツで失礼な女。  どんなに顔が好みでも、おっぱいがデカくても、地獄に落ちればいいのにと呪う。  落ち込みが激しいときほど、蓄積された記憶のうち、抹消したいランキングが上位ものから次々に再生してくれる。ある意味優秀な脳ってことなのか…。  ほとんどが10歳頃より後の、失敗したり大恥をかいたりした記憶ばかり。  欝なことこの上ない。マジで。 「はあ…」  思わず盛大なため息が口から出て、自分でも驚いた。  ふと気づくと、部屋が薄暗い。  膝を抱えたまま、ベッドにごろんと横になった姿勢で窓の外をうかがう。  だいぶ昼が短くなってくる季節、しかも今日は曇りで肌寒いはずなのに、俺の体は嫌な汗でびっしょり濡れていた。  黄昏時は、それじゃなくても妙に不安がつのっていくから好きじゃない。
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