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だめだ。
正直、もう限界。
なんで俺はこんななのに、生きてるんだろうか。
これから先も、ずっとこのままの自分で生きていくなんて耐えられない。
誰も俺が生きるに値するなんて思ってないはずなのに…。
俺は母もいないし、親父は根本的に仕事人間で、一人でも普通に生きていけるタイプのはず。
俺が生きるのを止めたところで、ホントに誰一人困らない!
しかも、生きてたほうが困るかも…、もちろん俺自身も含めて。
「もうやめてやる! こんな人生!」
口から吐き出された言葉の勢いで、がばっとベッドから飛び起きる。
そのまま家のドアを叩き開けて、マンションの屋上へと続く非常階段をずんずん上っていく。
本当は屋上へ出たいけど、このマンションは最上階との境に鍵がかかっていて、住人でも理由なく立ち入ることができない。
それでもとりあえず、高いところへ高いところへとひたすら上る。
頭がおかしくなってるのか、運動不足のはずなのに太ももの疲労はほとんど感じない。
地上13階の踊り場まで到着。
自宅のある2階とは別世界で、肌寒い風がびゅうびゅう音を立てている。
この踊り場は、手すりの上は吹き抜けているので無駄に眺めがいい。
職場がある都心のビル街の明かりが遠くに見えて、思わず目をそらす。
俺は、飛び降りようと思ってここに来たんだろうか。
たぶん、そうだった。一気に頭に血が上ったからここまで来たんだし。
少なくとも涼しい風に当たって、頭を冷やそうなんてことは考えてなかった。
一気に終わらせるべきだろうか、この勢いのままに。
それなら、せめて遺書くらいは書くべきだったな。
いや、衝動的なものならそんなの残さないほうが普通のはず。
それでも生きた証を1行くらいは誰かに伝えたいかも…。
……。
このまま飛び降りるには、なんだかんだで頭がクールダウンを始めてしまった。
つくづくダメだな、俺って…。
ぽす。
再びため息をつこうとしたとき、すぐ近くで奇妙な音が聞こえた。
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