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ぽす、ぽす、ぽす。
自分の横のスペースに視線を移すと、手すりの端っこにしゃがんで丸くなっている小さな人影が見えた。
もう夕闇が迫ってる上に、この階段にはほとんどまともな照明がない。
とは言え、せまい踊り場に同居する気配にすら気づかなかった自分にはびっくりだった。
どうやら小学校低学年くらいの男の子みたいだ。
ダンボールで作ったらしい箱型の工作を膝の上に置き、真剣なまなざしで空を見上げている。
工作にはボタンのようなものがいくつかと、紙コップの底に糸がつけられた糸電話の片側だけのようなものがくっついていた。
必死にボタンをぽすぽすと押していて、なんとなく話しかけられるような雰囲気ではないが…。
「なにしてるのか、気になるの?」
少年を見つめたままどうしようか迷ってたら、向こうから声だけ投げてきた。
「…あ、うん。何してるのか教えてくれるの?」
「うーん、いそがしいんだけど…」
そう言いつつ、少年はゆっくりこっちを見た。
色白で目がくりくりした子供らしい顔立ちをしている。
ボタンを押すのを止めて、ダンボール工作を指差す。
「これ、エイリアンソナー。うちゅう人をさがしてるの」
「…えいりあんそなー?」
あまり聞きなれない単語な気がする。ホントにそんなもんあるのかな。
「こないだよんだ本に、うちゅう人をみつけてくれるそうちって書いてたの」
「へえ、それで宇宙人が見つかるんだ、すごいね」
思わず噴き出しそうになったけど、(笑)は無理矢理飲み込む。
こういう年頃は、自分のやってることを茶化されると拗ねそうで。
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