第一章

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俺はまだ、いわゆる埋もれた人材、ってやつなんだと思う。 仲間と肩を並べることも叶わず、俺の能力さえ正当に評価してもらえない。 キョーダイ達は汗まみれになりながら、きっちり仕事をこなし、体を洗って寝る。 毎日その繰り返しだ。 ハッ、朝シャンまで毎日してやがるぜ。とんだ綺麗好きだな!  俺なんかよ、生まれて此の方、シャワーなんて大層なモン浴びた事ねーや。 ハン、キャーキャー騒ぐなよ、お嬢ちゃん。 だって、しゃーねーだろ? 俺は一度も仕事すらしたことねーもんよ! あー、もう愚痴るのも飽きた!  俺も40代だからな、ソロソロ本気出してやろーかなって思ってんだ!  ん? なんだコラ?  ヒトサマの年齢聞いてヒイてんじゃねーよ。 あー! もうやめてやる!  こんな生活オサラバしてやんよ!  俺だって社会に出ればすんげー役に立つはずなんだよ!  ハ、見てろよ、キョーダイ! ここから出たらバンバン活躍してやるからな! イモ引いてんじゃねーよ! その日から俺は、今までずっと丸めていた体をくねらせ、社会に出るべく準備運動を始めた。 ──フッ ……それが、いけなかったのかな……
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