毒と幸福

4/8
前へ
/8ページ
次へ
細かく刻んだキャベツと共に、キノコを挽き肉の入ったボウルに入れる。塩コショウを振り、手でこねると。 薄桃色の肉に紛れて、どんどんキノコはその存在感を消していった。 スプーンでひとすくいと、少し。餃子の皮にちまちまと包む。ぴたりと口を綴じてしまうと、中身は薄い膜に阻まれて見えなくなった。 食べてみるまで分からない。 ──たとえ、そこに入っているのが毒であったとしても。 巨大な獣のようなソファーにぽふっと沈み込む。 あのひとと結婚していなかったら、こんな大きなソファーとは一生縁がなかったことだろう。 彼が、いなかったら。 その想像は、時々ひどく甘美な香りを放つ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加