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細かく刻んだキャベツと共に、キノコを挽き肉の入ったボウルに入れる。塩コショウを振り、手でこねると。
薄桃色の肉に紛れて、どんどんキノコはその存在感を消していった。
スプーンでひとすくいと、少し。餃子の皮にちまちまと包む。ぴたりと口を綴じてしまうと、中身は薄い膜に阻まれて見えなくなった。
食べてみるまで分からない。
──たとえ、そこに入っているのが毒であったとしても。
巨大な獣のようなソファーにぽふっと沈み込む。
あのひとと結婚していなかったら、こんな大きなソファーとは一生縁がなかったことだろう。
彼が、いなかったら。
その想像は、時々ひどく甘美な香りを放つ。
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