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その店に行ってみる事にした。
というか。この状況でこの場所にポツンと一つだけ建物があったら入るしかないだろう。
僕に何の当てもない。今は目的が欲しかった。だから僕はその建物へと向かい、そして中へ入った。
すると。
「いらっしゃいませ」
と、人がいた。女性だ。お出迎えしてくれた。
何故かスーツまで来てる。
死後の世界なのにやたらと人間寄りなんだな、と思ってしまう。
「あの、ここは?」
僕は訊ねると彼女ははい、と前置きしてから説明を始める。
「ここは来世の命を売るお店です」
「来世? 命?」
「はい。あらゆる生物は生と死を繰り返すものです。そして死ねば新しい体を得るのです」
「売るってことはタダじゃないんですか? 僕一文無しなんですけど」
「貨幣での交換は致しておりません。そもそもお金は物のやり取りを簡単に済ませるために人間が作ったものですから。こちらのルールに従っていただきます」
「はぁ、」
なんかよく分からないけど。
とりあえずここはお店のようだ。
来世の命を売るなんて奇妙な店だ。
「とりあえず、こちらにお座りください」
言って、彼女は近くの席に僕を案内した。彼女も僕と相対するよう向かいに座る。
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