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出された茶は、使い古されたような、客用とも思えない湯飲みに入っていて、懐紙を折った上に茶色い饅頭が一つ添えてある。
店主の稲光五郎はよほどこの饅頭が好きらしく、既に頬張っていた。
そうして少し欠けた、柿色の湯飲みを啜る。
この奇妙なドアがなければ、少し陰気な茶飲み友達だ。
───陰気だなんて……まぁ、否定しやしませんがねぇ。しかし、レコーダー相手だとお口が悪ぅござる。アータの読者は騙されてるねぇ。面と向かや、こんなに気の小さいお人なのにねぇ。フフフ……。
───さあて、アータにウチの商品は使えるかねぇ……。
───ちょいと、お手を拝借。なに、とって喰いやしませんよ。
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