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店主は勿体ぶるように首をかしげて見せる。
そうして、こちらの意志を確認すると、それはゆっくりと踵を返して、奥の襖に手をかけた。
よくよく手入れがされているのか、古い建物の割には滑るようにそれは開き、奥の部屋が現れる。
一段の小上がりを踏みしめて、そこへ入ると畳の六畳間があった。
襖の隙間から漏れていた光は、そこに置かれていたブラウン管テレビで、無音のまま何かを映し出していた。
───チョイとお待ちいただいて……灯り、灯りのスイッチ……あったあった。
───明るくなった。古い建物でね、今時のお人にゃ狭いでしょう。でもまぁ、アタシにゃ居心地の良い部屋でねぇ。何にでも、すぐ手が届く。フフフ、モノグサなもんで。
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