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灯りの中に浮かび出てきたもの。
襖と向かいに、畳とは似つかわしくない洋物の木製ドアが一つ、壁に張り付いていた。
畳に土壁、そして、ドア。似合わないだけではなく、そのドアにはノブがついていない。
他にはテレビの前に、潰れた座布団の置かれた座椅子が一つ。
その横に何か工具の入ったミカン箱程の木箱と、作業台。台の上に恐らく磨き途中であろうドアノブが転がっていた。
───そこへお座りなさいよ……あぁ、これを使って……アタシの古い座布団で申し訳ないけれど。
───これが潰れているようで、体に馴染んで具合がいいんですよ。古くなったら、すぐ捨てちまうってのは、アタシは好きじゃない。大事に使やぁ、モノってのは主人を大事にするもんです。
───茶ぁでも、淹れてこようかね……独り身なんでね、ちょっとそこでお待ちなさいよ。
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