第二章 -恋と愛、その差-

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泣き止んでから数分後。 呼吸が整ってきたのを見計らって、安浦さんは私をソファへ座らせた。 「とりあえず、何か飲もうか。明華、ビール飲む?」 「うん、飲む」 手早く注文して、また隣に戻ってきてくれる。 一緒に煙草に火をつけて、1、2口吸ったところで、私は事情を細かく説明する。 安浦さんは、私がデリヘルを始めた当初、プレイ云々ではなく、一目見て私を気に入ってくれた上客だった。 「一緒に居られるだけで、俺は幸せだよ」 そのうちに私は、そう言ってくれる彼をお客として見れなくなった。 まるで、私に旦那ができたように感じ始めた。 だから、本当は禁止されている仕事中のセックスも、連絡先の交換もしたし、本名も教えた。 「俺は美琴…じゃない、明華が幸せならそれでいい。明華が喜んでくれればそれでいいんだよ」 年の差にして、約30歳。 普通だったら成立しない。普通だったら許されない。 だけど私は、どんどん彼に惹かれていった。 「今すぐ逢いたいよ、明華」 「私も逢いたい。大好き」 そんなLINEをする回数が、日に日にどんどん増えて行った。 ある日、彼に私の現状を洗いざらい話したことがある。 借金が100万くらいあること。 生活費と返済のために、デリヘルをやっていること。 旦那はいない、彼氏がいること。 その彼氏とは、ずいぶん前から冷め切っていること。 「大丈夫。俺はそんなマイナスのところも含めて、明華の全部が大好きだから」 長いこと言われていなかった言葉だった。 全てを認めてもらえた気がした。全てを許されたような気さえした。 「私は、生きていてもいいんだ」 至極単純だけど、そう言ってもらえてる気がした。
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