第一章 -隣にいて-

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自分勝手極まりない人だと、私は思う。 彼氏である由紀人は、現在も実家暮らし。 だが、着替えを取りに帰る程度で、ほとんどが私の家にいる。 家賃などのお金は、入ってこない。 が、文句だけは一人前に垂れる。 一度そのストレスから、胃腸炎を起こしたこともあるが… その時にも彼の態度はほとんど変わらない。 「大丈夫?」 「うん、薬飲めば大丈夫だよ」 「そう。ならよかった」 それをきっかけに変わらなければ、追い出すという選択肢もあった。 けど、彼を 「好き」 という気持ちが、行動にブレーキを掛けてしまうんだ。 どこが好きなのか、なぜ好きなのか、今となってはよくわからない。 でも、離れることが寂しくて辛い。 寂しい気持ちになるくらいなら、離れることが辛いなら、 一緒にいることに悩む方がいいと思っている。 だから、離れられない。 ある種の依存なのではないか…とまで思う。 彼が浮気をしていても、きっと私は未練がましく影を追うんだろう。 好きな料理を作って、好きな香水をつけて、 彼のために布団を敷き、彼の帰りを待つんだ。 それが、私にとっての幸せだと思うから。
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