第2章 昭環42年 嵐の夜に……

9/24
前へ
/24ページ
次へ
 また始めやがったと俺は思いつつも、関わると面倒なので無視していた。暇つぶしに相手をしている連中は、奴の虚言癖を悪化させていくという悪趣味な遊びに講じているだけだろう。 「俺の親父はさあ、連合艦隊の重巡の艦長だったんだよ」  それが本当ならこんな底辺の吹き溜まりにいないだろうと、俺は思った。 「ミッドウェー海戦で重巡だけで敵空母と戦艦を殲滅させたんだよ」  そんな重巡があればそれ1隻で戦争は終結していただろう。そして、誰かが言った──新入りで何もしらない合田だ。こいつも癇癪持ちで腕っ節が強く、喧嘩っ早い奴なので相手にされない。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加