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早速と店員は軽く紹介をしていく
「このスーツの方はプランクさん。甲冑の方はリーンさん。サムライの方は明智さん。寝てる方はジャンさん。白髪の方がニュートンさんで、この子はセルロさんです」
なんかちょこちょこ凄い名前が聞こえた。でも、まぁ、気にしない方向で…
店員は最後に自己紹介をする
「私はパードと申します。あなたの散り際を最高に輝かせるベストライフパートナー、でお馴染みです。では早速取り掛かりましょう。まず深く深呼吸をして、思い出してみてください。なにか、忘れてませんか?」
言われたとおり、深呼吸をする。やけに震えた吐息は、あまりに多くのものが混ざり込みすぎている。思い出したいけれど、思い出しすぎて思い出せない。不思議な感覚だ
あぁ、そうだ。少し思い出した。俺は理由無く轢かれたわけじゃないな。なにかをしようとしたんだ
なにか。なんだったっけ
しばらく悩む。静寂に耐えられないのか、店員…パードはヒントを出してきた
「ご家族は?」
俺は軽く頭を下げながら返答した
「いないです…親も早くに亡くなって、嫁も子ども今のとこ」
パードは質問してごめんなさいと言わんばかりに縮こまってしまった。ベストライフパートナーにしては気が小さいな
続いて、セルロが質問をする
「好きな人!好きな人は!」
「いや…いない、かな」
好きな人も、好かれた記憶も特に無い。セルロはつまんなそうにぶーぶーと文句を呟く。人の人生をつまんなそうに聞くなコラ
それに続き、明智と呼ばれた美形のサムライが質問をした
「なればまず、なぜ死んだ?」
それは、轢かれて。…轢かれて?
「あぁ、そうだ!ネコ!ネコ守ろうとして轢かれたんですよ俺!」
はぁぁぁぁぁぁぁ?と、ほぼ一同、一斉に俺を超絶馬鹿にした顔で見てくる。そんな目で見ないで
「馬鹿じゃねぇの」
ニュートンと呼ばれたその客は背を向けたまま罵倒する。ムキー。というかニュートンってあのニュートンだったらだいぶキャラが崩壊するよその発言
しかし、パードだけは目を潤して俺の手をひっしと掴むんだ
「なんて優しいんですか!あなたが死ぬなんて間違ってますよぉ!最高の10分にしましょう!ねっ!」
ふんふんと鼻息が荒い。周りを見ると、やれやれといった雰囲気。これがデフォなのね
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