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記憶が錯乱している。よくネコのこと思い出せたな、というほどには。いつも使っている俺の脳はこれほどに使いづらかったか
またしばらく呆けていると、パードはよしっ、とカウンターの下から大きな本を取り出した。カウンターにドンと置き、パラパラとめくる
「これはですね、あなたの歴史書です。見つけてあげますよ、あなたの思い残し!」
ラオウも困惑のお節介である。パードはしばらくこの本と格闘することだろう。いいのに。暇だな…もうさよならしてもいいのになぁ
背もたれにぐーっと身を伸ばす。ボキボキと背骨が鳴る。全身骨が砕けてたはずなのにな
すると、俺の膝の上にちょこんと軽い重みがかかる。暖かい。視線だけ戻すと、そこにはセルロがこっちを向いて乗っかっていた。セルロはにっこにっこしながら俺の胸にもたれかかる
「この人がいーなー」
え、なんの話?見初められてしまった
困惑して周りをきょろきょろする。しかしプランクはジュークボックスの方へ行ってしまい、リーンと明智は花札をし始めていた。助けて?
セルロは俺の胸を小さな人差し指でなぞる。ぞわぞわと鳥肌が立つ。ついでに乳首も立ってしまった。それに満足したのか、向き直り、質問しはじめた
「君はいくつ?西暦何年生まれ?」
「…20です。1995年生まれ…」
セルロはにっこりとして語り始めた
「私は7歳だけど、西暦3120年生まれ!」
ええええええええ。未来のお人だ!
むちゃくちゃ驚いたが、ふと冷静に考える。明智とかリーンとか、どう見たって俺と同じ年代に生きた者とは思えない。ここは交差点…色んな時間から、色んな人が訪れるんだろう。自らの道を征くために
セルロはさらに続ける。腕を組み、うんうんと唸りながら
「でも、身体はまぁ子どもだけど、脳は…そうだね、君の時代でいう20代前半の経験と知識は持ってるよ。中身は同い年~」
へぇ。死の10分前に人類の光を見た
彼女は身が子どもなのもあって話しかけやすいな。俺は今まで取りためた質問を解決してもらうことにした
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