2人が本棚に入れています
本棚に追加
パードはさらに熱くなる。俺を殴ったデカい本を再び開き、バンバンと叩く
「簡単に諦めちゃダメですよ!あなたは生きるべきなんです!10分で思いを伝えるべき人、いましたよ、ほらっ!」
渡されたデカい本はわりと軽い。俺の人生の重みそのものである
そのページはその本のラストページ。そのある一行にマーカーが引かれていた
『幼なじみが悲鳴をあげる。錯乱しながらも救急車を呼び、急いで近寄って吹き出す血を手で押さえている』
ハッと思い出す。そうだった。幼なじみと買い物した帰りだったんだっけ。じゃああの死ぬ間際に聞こえた甲高い音は…幼なじみの悲鳴だったのか
ガッと胸ぐらを掴まれ、ぐらぐらと揺らされる。パードは熱くなりすぎて自制が利いていないようだった
「諦めてる場合じゃないでしょおう!?この幼なじみさんと仲良かったんじゃないんですか!実は好きとかあったんじゃないんですか!?今必死に血を止めてくれてるんですよぉ!?」
パードと俺の間に挟まれたセルロは一緒に揺らされながらそーだそーだと便乗する
「きっと幼なじみ、このままじゃ一生のトラウマだよ~?挨拶くらいして去ろうよ」
うーん。確かにそれもそうだ。俺の幼なじみとは仲良かったし、まぁちょっとは好きかな?とかもあった。あ、もちろん女だよ、ホモではない
うん、そうだ。よしっ、俺はパードの腕を掴み、宣言した
「そうですね。せめて幼なじみに感謝だけでも伝えてサヨナラしたいと思います」
やったー!とパードは俺の手を握り返しぶんぶんと振る。うーん、オーバーリアクションな方だ
「生き返る気になったんですね!では一緒に考えましょうっ、最高の10分間の計画を!」
カウンターの下からガラガラと黒板が引き上がってきた。そのカウンターの下、どうなってるの?
パードはパンパンと手を叩き、周りの人を収集する
「暇な人~!作戦会議しましょー!」
それに応えたのはリーンとプランク、明智とセルロのみ。ジャンは起きる気配もなく、ニュートンはあからさまにイライラしながらジャンを蹴飛ばしまくっていた。怖いな
最初のコメントを投稿しよう!