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七日目
「真咲君、今日は大学のテストなんでしょ?」
「そうだけど、今日はハルと過ごしたいんだ。」
「そういって昨日も一昨日も休んだじゃん。今日は行かなきゃ私怒るからね。」
ハルはそう言って無理やり真咲を起こす。
「ほら、ご飯出来たから早く食べて。」
ハルの作る料理を食べるのも残りわずか、口に運ぶと自然に涙が流れる。
「泣くほど美味しいのか、私の腕も成長したね。」
真咲とは違い無邪気な笑顔を見せるハル。
「本当に美味しいよ・・・」
真咲の涙は止まらなかった。
ご飯を食べたが大学へ行く気になれなかった。
「真咲君、そろそろ行かないと遅刻するよ。」
「いやだ。」
「わがまま言わないで。ほら準備して。」
「いやだ。」
「大学行って勉強してこないと将来いい大人になれないぞ。」
「別に夢なんてないし、今は家にいたい。」
ハルは真咲を抱きしめ
「真咲君、私とは七日っていう契約だけどあなたの人生はもっと長いの。
私のためにあなたの人生を無駄にしてほしくない。私にとってあなたは世界で一番大事な人だから。」
真咲は大粒の涙を流しながら
「やっと出会えたんだ。僕を愛してくれる人を。今までずっと一人だった、ハルと出会えて初めて知ったことがたくさんあるんだ。
ハルのためなら僕の人生滅茶苦茶になってもいい。先の人生より今を大事にしたい。」
「そう思ってくれて嬉しいよ。ありがとう。でも今の私の願いは真咲君に後の人生を幸せに歩んでほしいから、今日はちゃんと学校へ行って。まだ明日あるんだし、ね?」
「分かったよ・・・」
「ありがとう。」
ハルは優しい笑みを真咲に向けた。
「行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
これが最後の見送りだった。渋々学校へ行った真咲だがハルのことで頭がいっぱいだった。
ーずっと下ばっかり向いていたらハルに怒られるな。
涙を拭いて周りを見渡したその瞬間、真咲の目が大学の掲示板に奪われた。
明日がハルと過ごす最後の時間。ここに行くしかない。
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