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愛の日
「ハル、お弁当出来た?」
「もうすぐだから待って。」
ハルと過ごす最後の日。もう下を向くのをやめようと決めたのだ。
最後は笑って別れたい。しかしハルはどこに戻るのだろう。
真咲はハルとどのようにして離されるか気になっていた。
大学で目に付いたチラシはフラワーフェスティバルの広告だった。
花が好きな春にとって一番ピッタリな場所だと真咲は思った。
「さあ、行こうか。」
「うん!」
二人で一緒に外へ出る。出会った時と同じように太陽が二人を祝福しているように照らしている。
電車に揺られ、全国でも有名なフラワースポット星川公園へと到着した。
公園一面に咲くポピーの花が二人の気持ちを温かくする。
「すごい綺麗。こんな綺麗なところに連れてきてくれてありがとう!」
ハルが満面の笑みで真咲に抱き着く。
「喜んでもらえてよかった。さあ、回ろう。」
照れながらも真咲が手を差し伸べハルはその手をつかんだ。
初めて手を繋いだ、二人の距離をより近づける。
お互いの体温が手のひら越しに伝わる。生きている証だった。
「僕今日見たこの景色一生忘れない。」
「私も。」
二人は目に焼き付けるようにこの景色を眺めた。
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