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その奇妙な店は、「PETAL」という。
PETALとはどんな意味だろう。
そのことはとりあえず置いといて、僕は今その店に吸い寄せられるように入っていった。
商店街の路地裏にポツンと佇むその店は何とも不気味でまた異様なオーラを放っている。
たまたま目についたその店に引き寄せられた桜木真咲は無心でドアを開いた。
ドアについていたドアベルが軽快な音を奏でる。
その音で現実へ引き戻された真咲は店の中を見渡す。
店の中は閑散としており客は一人もおらず、しかしどこにでもある喫茶店と同じ風景だった。
「あれー、お久しぶりのお客さんじゃないですか。ささ、どうぞ席へ座ってください。」
店の奥からちょび髭を生やした優しそうな老人が出てきた。
言われるがまま真咲はカウンターの席へと向かう。
「飲み物はコーヒーでいいかい?」
「いや、すみません。お構いなく。」
コーヒーのいい香りが真咲の鼻をくすぐる。
「お客さんはどうしてこの店に来たのかい?」
「なんででしょう?この店を見つけた瞬間何かに引き寄せられるように入ってきちゃったんです。ここは何屋さんなんですか?喫茶店ですかね?」
老人が淹れたてのコーヒーを真咲に差し出し
「ここの店は喫茶店ではございません。
お客様が望む運命の相手を売っております。」
真咲は一瞬目が点になった。
ーーなんだなんだ。運命の相手を売っている?どういうことだ?
驚いた顔で老人の顔を覗き込むと老人はにやりと微笑んだ。
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