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二日目
トントントン、またあの気持ちの良い包丁の音が聞こえてくる。
いつの間にか真咲は眠っていたようだ。
部屋を見ると散らかっていた衣服はなくなっており、ごみもすべてまとめられ見違えるほど綺麗になっていた。
台所から顔を出したハルは
「おはよう。真咲君、よく眠れた?」
笑顔で挨拶をしてきた。ハルは真咲のワイシャツを着ておりズボンなどは履いていなかった。その姿を真咲は直視できなかった。
「おはよう。ごめんね、昨日は寝ちゃったみたいで。ハルさんは寝れた?」
「うん、勝手にお風呂借りちゃったし服も借りちゃった。ごめんね。」
「全然いいよ。昨日からここは君の家でもあるんだから。」
少しでもハルとの距離を縮めようと真咲は必死で言葉を選んだ。
「ありがとう。」
ハルは顔を赤らめながら呟いた。
ハルの作る料理はなんでも美味しかった。手料理がこんなに温かいものなのだと初めて知った。
”愛情”を初めて知った瞬間だった。
微笑みあう二人、距離が縮まっていく二人。
この時間は永遠に続くものだと信じていたのだ。
でもそうじゃない、残りはわずか五日間。
君と過ごした七日間は僕の人生で一番美しかった日々だろう。
同時にとても胸が苦しくなる思い出だった。
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