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三日目・四日目
二日目と変わらない朝の始まり。
今日から平日なので大学へ行かなければ行けなかった。
ハルと過ごす時間が短くなるのは真咲にとって辛いことだった。
「ハルさん。これお金渡しておくから着替え買ってきな。
気が利かなくてごめんね。すぐ帰ってくるから行ってきます。」
「そんなわざわざいいのに。ありがとう。気を付けていってらっしゃい。」
”行ってらっしゃい”
その一言が真咲にとってとても嬉しいものだった。
長い長い一日だった。大学にいてもハルのことばかり考えている。
彼女との時間はとても居心地が良かった。
ハルは花が好きだった。植物が好きだということ、散歩が好き、料理が好き、運動は苦手、ここ三日で知れたことだった。
お互いのことを知ることは嬉しく思う。
しかしそれはあと数日で消えていく。
ーハルとは一週間しか過ごせない。
お互い知れば知るほど苦しくなるだけでは?
真咲は自分の心の中で葛藤していた。
この二日間真咲は心ここにあらずだった。
あの店へ行こうとしたが跡形もなく消えていた。
ハルと長く過ごす術はなくなってしまった。やっと見つけたのに、唯一無二の存在が。
君を失いたくないのに、真咲はハルに気づかれないように泣いていた。
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