第2話~話し相手~

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翌朝、奏汰はいつもと同じ時間に目を覚まし、ふと携帯のライトが点滅している事に気付く。 「ゆうり…………だれ?」 朝に弱い奏汰は寝起きでまだ頭が機能しておらず、朝からメールをくれた相手の名前が暫く思い出せなかった。 受信相手はまだ登録してないので名前ではなくアドレスで表示され、視界がぼやけて文面がよく見えない。 暫く目を凝らして見詰め続けると、 「ゆうり……あ、昨日の娘か!」 漸く目も見え始め、悠里から送られてきたメールだと理解出来た。 「あー…登録するの忘れてた」 前日にお互いのアドレスを交換した時、奏汰は話を聞く事に集中していた為に一旦携帯を置き、そのまま登録しないまま日を跨いだのだった。 ゆっくりと布団の中から起き上がりながら奏汰は、改めて悠里から送られてきたメールの内容を確認する。 『昨日はありがとね。いっぱいお話できて楽しかったよ、またいっぱいお話しようね。今日もお仕事頑張ってね。悠里』 前日のお礼と感想、次回の約束、そして最後のエール…まるでテンプレートをコピーしてそのまま送ってきたような模範的な内容のメールに対し、奏汰は逆に簡潔に返信した。 「俺も昨日は楽しかった、ありがとう……送信」 そして奏汰は、急いで仕事へ行く準備を始める。 職業上仕事中は清潔でいないといけないので朝風呂派、更に朝ご飯を抜くと厨房では地獄を見る為にしっかり食べる…一通りの準備を終えたところで、奏汰は家を飛び出した。
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