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そして奏汰と悠里が約束をした日の当日、
「先に着いたから待ってるわ」
奏汰は少し早くに待ち合わせ場所に到着し、メールを送って適当な所で悠里が来るのを待つ事に。
それから十数分後に時計の針が待ち合わせ時間の12時を指した時、
「蓮見さん♪」
「あれ、いちか?」
「おはようございます!」
そこへ満面の笑みを浮かべるいちかが姿を現し、奏汰は驚きを隠せない。
「偶然やな、こんなとこで」
「偶然じゃないですよ♪」
「ん?」
しかしそれに対しいちかは、まるで悪戯を企んでる子供のような笑みを浮かべながら、
「実は私が、以前に悠里さんが話してた後輩なんですよ」
「ほんま?!」
そうカミングアウトし、それにより奏汰はまた更に驚きを隠せない。
するといちかは満足気に微笑むが、しかし奏汰はすぐに気を取り直し、
「立ち話もアレやから、とりあえず座る?」
「はい、ありがとうございます」
すかさず側のベンチを指し、掌を翳して誘導する。
その時いちかは、表向きの笑顔とは裏腹に心の中では全く別の事を考えていた。
『こんな下心剥き出しの男なんかに、悠里さんは勿体無い…』
悠里はまた急な仕事で遅れるようで、それまでは二人で近くのファミレスで待つ事にする。
この日からいちかは、水面下で暗躍を始めるのだった。
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