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予定では、病欠の先輩の代わりに午前中のみ悠里が出勤し、午後からはまた別の先輩がやってきて悠里と交代で、悠里は12時には帰れる筈だった。
しかし、
「あの娘がまだ来てないみたいだから、悪いけどもうちょっとだけ残ってくれる?」
「はいぃ?!」
その12時に来る予定だった先輩が何故か姿を現さず、悠里は帰る事が出来ない。
「そんな、困ります!」
「どうせ彼氏も友達もいなくて暇なんでしょ?お願いね」
「ちょっと待って下さい!私今日は大切な約束が…」
先輩は口早にそう告げると、忙しない様子ですぐに仕事に戻っていった。
一方で残された悠里は下唇を噛み締めながら携帯を取り出し、すかさず奏汰に現状を伝えるメールを送る。
「本当にごめんね、もうちょっとだけ遅れそう…」
「あ、メール……悠里また少し遅れるって」
「そうなんですか」
一方で奏汰は、いちかとファミレスで向かい側の席に腰を下ろしながら、悠里からのメールを確認していた。
悠里がもう暫く来ないと理解すると、いちかは一瞬フッと笑みを浮かべながら口を開く。
「蓮見さんって、悠里さんと付き合ってるんですか?」
「いいや、付き合ってへんよ」
「だったら、どうして毎日毎日メールや電話してるんですか?」
「なんで…なんでやろな」
いちかは少し上目遣いでそう尋ねるが、奏汰は適当にはぐらかす。
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