第5話~孤独と暗躍~

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「悠里さん…見た目の可愛さに騙されちゃダメですよ」 「……?」 そこでいちかは、まるで悪戯を思い付いた子供のように不敵に笑みながら、更に続ける。 「あぁ見えて悠里さん、彼氏が出来てもいつも一瞬でフられちゃうんですよ」 「本人から聞いた」 「だって毎日毎日鬼メールってのも主な原因の一つですが、約束は守らないし時間にもルーズだし、意外といい加減だし、話したがりなだけで人の話は全然聞かないし……正直疲れないですか?」 「……」 日頃の鬱憤なのか、いちかは一通り悠里に対する不満を言い終えると、それに答えるように今度は奏汰が口を開いた。 「悠里にも良いとこだってあんねんで」 「確かに、見た目は本当に綺麗ですよね。私もそこには憧れ……」 「見た目は別にええねん。ぶっちゃけ俺は顔合わせる事少ないし、今日でまだ会うの三回目やし」 「え……?」 奏汰が言う悠里の"良いとこ"……それを聞いていちかは暫く考えるが、しかし容姿以外に何も思い付かない。 それに対し奏汰はフッと呆れた様子で短く息を吐いた後、静かに続ける。 「確かに悠里は、いつも何の脈絡もない話を延々と続けてるけど…その中で誰かの悪口を言うてるのは聞いた事ない」 「あ……!」 それにはいちかも、納得せざるを得なかった。 「そこが悠里のいいとこ。良く言えば"純粋"、悪く言えば"不器用"…良くも悪くもただただ感性がまだ幼いねんなって、俺は思ってる」
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