第2幕

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「わっ! ちょうどいいです。今、高校生の純愛ものを書こうとしていたところだったんで」 「いやもう俺のはありきたりな話なんで、ネタになんかならないですから」 逃げ出す口実じゃなく、本当にそうだ。 ただ同級生の芹香を好きになって、どうしようもなく好きで。 好きすぎて告白もできないってだけ。 なのに、彼女が俺の目の前に突き付けたのは、電卓の数字だった。 「これでどうでしょう?」 「マ、マジですか?」 そこには俺の3か月分の小遣いと同じ額が示されていた。 ただ自分の恋バナをするだけで、こんなにもらえるのか? これだけあったら来月発売のネイキッドのCDが買える。 通常盤じゃなくて、特典DVD付き初回生産限定盤が。
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