7、二人きりの夜の過ごし方

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すると、 ふわりと課長が私を抱きしめてくれた。 「っ…。」 黙ってただ、ぎゅっと。 課長にすっぽり覆われ徐々に伝わってくる温もりが心地良い。 「大丈夫。」 「はい。こうして貰ってると落ち着いてきます。」 リビングの端ではポロンが自分の寝場所で大人しく眠っている。 あんなにも頑張って吠えておじいちゃん犬は疲れたのだろう。 すると課長が 「こうしてて落ち着くのは僕です。」 「ん?」 静かに話し出した。 「もし、君を一人で帰していたらと思うと怖くて堪らない。」 「えっ?」 課長の胸にすっぽり収められている私は課長が今どんな表情でその言葉を言ってるのか分からない。 「大変な事になっていたらと思うと怖くてなりません。」 課長、責任感じてくれてるんだ。さっき送るのも上司として当然みたいな事、言ってたっけ? 「課長こそ、無茶しすぎですよ。犯人に立ち向かうなんて。警察の人も帰りがけに言ってたじゃないですか。危ないのでやめてくださいと。たまたま凶器を持っていなかったから良かったけどって。」 犯人と出くわした課長は迷う事なく立ち向かった。 そして、固まって動けない私の目の前で見事、犯人を投げ押さえ込むと私に警察に電話するよう促したのだ。 ほんの一瞬の出来事だった。 「手に何も凶器を持っていないと咄嗟に判断したので捕まえようと立ち向かったのですが隠し持っていたらどうなっていたか分かりませんね。」 課長の声が私の頭上から降ってくる。 課長にぎゅっと抱きしめられて落ち着いてきた私は、今度は課長と体がこんなにも密着している事を急に意識してしまって別の意味で落ち着かなくなってきた。
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